2015/10/05

Windows 10 Enterprise への RemoteFX USB デバイス リダイレクトには追加のポリシー設定が必要 (Windows 10 へのその他の PnP デバイスのリダイレクトも)

Windows 10 Enterprise では、Windows 10 Enterprise を実行する Hyper-V 仮想マシンの拡張セッション モードでは RemoteFX USB リダイレクトが使えて、リモート デスクトップ接続では使えないんじゃないかという情報があり、試してみたところ実際にそうでした。が、これは Windows 10 Enterprise のリモート デスクトップ サービスの既定の設定が変更されたことが原因のようで、回避方法を見つけました。

なお、リモート デスクトップ サービスの既定の設定の変更は、その他のサポートされるプラグ アンド プレイ (PnP) デバイスのリダイレクトにも影響します (接続先が Pro/Education の場合も)。

RemoteFX USB デバイス リダイレクトはリモート デスクトップ接続において、接続元の USB デバイスをリモートセッションにリダイレクトする機能です。この機能は、Windows Server 2008 R2 SP1 のリモート デスクトップ サービスの VDI 展開で初めてサポートされ、RemoteFX 3D ビデオ アダプターが割り当てられた、Windows 7 Enterprise SP1 を実行する仮想デスクトップに対する RDP 7.1 以降のクライアントからの接続で利用できました。

Windows 8 Enterprise からは RemoteFX 3D ビデオ アダプターは RemoteFX USB デバイス リダイレクトの要件ではなくなり、Windows 8 Enterprise を実行する物理マシンや仮想マシンへのリモートデスクトップ接続で利用できるようになりました。また、Windows Server 2012 以降の RD セッション ホストに対するリモートデスクトップ接続でも利用できます。さらに、 Windows Server 2012 R2 Hyper-V および Windows 8.1 クライアント Hyper-V からは、仮想マシン接続 (vmconnect.exe) の拡張セッション モードでも利用できるようになっています。

RemoteFX USB デバイス リダイレクトの要件は、接続先が RemoteFX USB デバイス リダイレクトに対応したエディション (Enterprise エディションまたは RD セッション ホスト) を実行していることと、「接続元」のポリシー設定で以下のポリシーを構成することでした。

コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\リモート デスクトップ接続のクライアント\RemoteFX USB デバイス リダイレクト\サポートされているほかの RemoteFX USB デバイスの、このコンピューターからの RDP リダイレクトを許可する

※記事タイトルの「追加のポリシー設定」は、このポリシーのことではありません。


拡張セッション モードではリダイレクトできる


さて、Windows 10 Enterprise を実行する Hyper-V 仮想マシンの場合、Hyper-V ホスト側でこのポリシーを構成して再起動してあれば、拡張セッション モードで RemoteFX USB デバイス リダイレクトを利用できます。ただし、私の Windows 10 および Windows Server 2016 Technical Preview 3 の環境だと、仮想マシン接続の全画面表示のアプリ バーにある[使用するデバイスを選択する]ボタンはなぜか機能しなかったため、接続時に拡張セッションモードの接続時にオプションを開いて[ローカル リソース]タブの[詳細]でリダイレクトするデバイスを選択してから接続する必要がありました。これはまた別の問題 (Windows Server 2012 R2 Hyper-V および Windows 8.1 クライアント Hyper-V からの問題)。




リモート デスクトップ接続ではリダイレクトできない (既定では)

同じ仮想マシンにリモート デスクトップ接続クライアント (mstsc)を使用して、[ローカル リソース]タブの[詳細]でリダイレクトするデバイスを選択してから接続すると...

指定したデバイスがリダイレクトされませんし、アプリ バーに [使用するデバイスを選択する]ボタンも表示されません。イベント ログの TerminalServices-ServerUSBDevices/Admin を見ると、イベント ID 36 の警告イベント「サポートされた追加のデバイスのリダイレクトは、ポリシーによって無効にされています。」が記録されています。


リモート デスクトップ接続でリダイレクトするには

Windows 10 Enteprise に対するリモート デスクトップ接続で RemoteFX USB デバイス リダイレクトを利用可能にするには、「接続先」の Windows 10 Enterprise で以下のポリシー (ローカル コンピューター ポリシーまたはグループ ポリシー) を「無効」にして、Windows 10 Enterprise を再起動します。

コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\リモート デスクトップ セッション ホスト\デバイスとリソースのリダイレクト\サポートされているプラグ アンド プレイ デバイスのリダイレクトを許可しない : 無効
(英語版なら ...\Remote Desktop Session Host\Device and Resource Redirection\Do not allow supported Plug and Play device redirection を Disabled に)


このポリシーの説明を以前のバージョンの Windows と比べると、Windows 8.1 および Windows Server 2012 R2 以前の既定(ポリシーを構成しなかった場合) は「無効」Windows 10 の既定は「有効」に変わってしまったようです。Windows Server 2016 Technical Preview 3 の RD セッション ホストは、このポリシーを設定しなくても、RemoteFX USB デバイス リダイレクトを利用できます。が、今後のプレビューや正式リリースでは、Windows 10 Enterprise と同じように既定でリダイレクトできなくなるのかもしれません。

Windows 10 の説明 ・・・  既定では、サポートされているプラグ アンド プレイ デバイスと RemoteFX USB デバイスのリダイレクトが、リモート デスクトップ サービスで許可されません。
Windows 7 SP1~8.1 の説明 ・・・ 既定では、サポートされているプラグ アンド プレイ デバイスのリダイレクトは、リモート デスクトップ サービスにより許可されています。

この仕様変更により、RemoteFX USB デバイス リダイレクトだけでなく、その他の PnP デバイス(PTP デバイスや MTP デバイス) のリダイレクトも既定でブロックされます。その他の PnP デバイスのリダイレクトは、Pro エディションでも使えるやつ。

Windows 10 Enterprise や Windows 10 Enterprise LTSB で VDI の仮想デスクトップを展開する場合も、既定では RemoteFX USB デバイス リダイレクトが使えないので、グループ ポリシーなどで仮想デスクトップ側のポリシーを構成しておく必要があります。

というわけで、リモート デスクトップ接続でも RemoteFX USB デバイス リダイレクトを使えるようになりました。でも、なんで拡張セッション モードはこの仕様変更の影響を受けないんでしょう...


以上

関連する投稿:
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