2010/10/13

MED-V 2.0 Beta を試してみた

待望 (私個人として) の Microsoft Enterprise Desktop Virtualization (MED-V) の次期バージョン MED-V 2.0 の Beta 版 (英語) が 2010 年 10 月 11 日に Microsoft Connect サイト にて公開されました。正式版は、Microsoft Desktop Optimization Pack (MDOP) for SA の次期バージョン MDOP 2011 の一部として提供されることになると思います (たぶん)。
Windows 7 の Windows Virtual PC に対応した MED-V 2.0 Beta を、早速、試してみました。



現行バージョンの MED-V 1.0 SP1 (MDOP 2010 Refresh に収録) は、マイクロソフトが 2008 年に買収した Kidaro のテクノロジがそのまま利用されたものでした。仮想マシンを動かすためのエンジンとして、Virtual PC 2007 SP1 を利用しています。MED-V Management ツールで作成したポリシーと仮想マシン イメージを、MED-V Server にアップロードして、MED-V Client に配信するというシステムです。MED-V 1.0 SP1 は、ホストとして Windows XP Professional SP2 以降 (x86)、Windows Vista Business/Enterprise/Ultimate SP1 以降 (x86)、および Windows 7 Professional/Enterprise/Ultimate (x86/x64) を、ゲスト OS として Windows 2000 SP4 および Windows XP SP2 以降 (x86)  をサポートしています。

MED-V 2.0 Beta は、MED-V 1.0 SP1 とまったく違っています。まず、Beta 版なので最終形がどんなものになるのかはわかりませんが、MED-V 2.0 Beta は、ホストとして Windows 7 Professional/Enterprise/Ultimate (x86/x64)を、ゲスト OS として Windows XP Professional SP3 (x86) のみをサポートしています。

MED-V 2.0 Beta は、MED-V 1.0 SP1 の MED-V Server 相当の機能を提供しません。MED-V 1.0 SP1 以前を利用したことがある人は、この点が最も驚くでしょう。MED-V 2.0 Beta は、仮想マシンの配布のために、グループ ポリシーやソフトウェア配布システム (System Center Configuration Manager など) など、別の配信方法を準備する必要があります。

MED-V 2.0 Beta は、MED-V  Workspace Packager、MED-V Host Agent、MED-V Guest Agent の 3 つのコンポーネントから成ります。MED-V  Workspace Packager は、仮想マシンを配信可能な形にパッケージ化するツールです。MED-V Host Agent は、仮想マシンを配布するクライアントに必要です。MED-V Guest Agent は、仮想マシン内に Windows Virtual PC の統合コンポーネントとともに組み込みます (.NET Framework 3.5 SP1 以降も必要です)。

MED-V 2.0 Beta が何をしてくれるのか簡単に言うと、Windows Virtual PC 用に構成済みの Windows XP Professional SP3 仮想マシンのイメージを作成し、そのイメージをエンタープライズ規模で展開して、仮想マシンの初期セットアップを自動化する (コンピューター名の設定やドメイン参加など) というもの。MED-V 1.0 SP1 が Windows XP Mode のエンタープライズ版と表現されることがありますが、これまではテクノロジが全く違いました。MED-V 2.0 Beta は、正に Windows XP Mode のエンタープライズ版です。というか、エンタープライズ向けの Windows XP Mode ライクな配布パッケージの作成ツールと言った方がよいかもしれません。

パッケージを作成すると、いくつかのファイルとともに、Setup.exe が生成されます。このファイル群をグループポリシーや SCCM を利用して配布すればよいのですが、単にファイルをコピーして Setup.exe を実行するだけでも試すことができます。

Windows XP Mode との違いは、カスタマイズした仮想マシン イメージを配布できる (Windows XP Mode とは違い、ライセンスは付いてきません)。MED-V 1.0 SP1 と同様に、URLのリダイレクト (DNS サフィックスや IP アドレスで対象の URL を開く際には仮想マシン内の IE の使用を強制させる) ができる。仮想マシンが休止状態になっていても定期的にウェイクアップさせて、更新プロセスを開始できるといったところ (これにはレジストリの作成が必要のようです)。

MED-V 1.0 SP1 との違いにも触れておきましょう。一番大きいのはテクノロジの違いです。Windows XP Mode と同じく、Windows Virtual PC のアプリケーション統合モードを利用して、スタートメニューやデスクトップにシームレスに統合されます。MED-V 1.0 SP1 は、Virtual PC 2007 SP1 がバックグラウンドに隠され、通常の利用ができなくなりますが、MED-V 2.0 は Windows Virtual PC も引き続き利用できますし、MED-V 2.0 Beta で配られた仮想マシンも Windows Virtual PC から操作できます。MED-V 1.0 SP1には、仮想マシンに対して有効期限を設定し、自動削除するというユニークな機能がありますが、MED-V 2.0 Beta にはありません。

MED-V 1.0 SP1 と MED-V 2.0 Beta は似て非なるものなので、MED-V 2.0 正式版が出ても、ホスト (クライアント) の要件やゲストの要件によっては、MED-V 1.0 SP1 (もしくはその後の更新版) を選択せざるを得なくなるでしょう。

ところで、これから MED-V 2.0 Beta を評価してみたいという方へ。MED-V 2.0 は、Windows Virtual PC のインストールされた Windows 7 (Professional 以上) コンピューター 1 台と、Windows XP Professional SP3 の未使用ライセンス (もしくはボリュームライセンス) があれば試せます。MED-V Guest Agent のインストールのために、.NET Framework 3.5 SP1 以降が必要な点にはご注意。"MED-V Guest Agent setup wizard ended prematurely" というつれないメッセージで悩みむことになります。

MED-V 2.0 Beta は、XP Mode と同じ仕組み。URL リダイレクト機能があるところが大きな違い

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