Windows Server World 2009年12月号(最終号)の特集「徹底検証 Hyper-V-2.0」が COMPUTERWORLD のサイトで公開されています。この記事の 検証ポイント(3) 消費電力はどの程度抑えられるのか? ですが、徹底検証とうたいながら、時間的、設備的な理由 (言い訳です) で消費電力が実際のところ、どの程度抑えられるかまでは踏み込んでいません。
Windows Server 2008 R2 には、コア パーキング (Core Parking, コア保留) をはじめとする消費電力抑制機能が装備されています。マイクロソフトによると、同じプロセッサを使用した場合、Windows Server 2003 R2 (SP2) と Windows Server 2008 R2 で比較すると、約 20% の消費電力を抑えることができるそうです。では、Windows Server 2008 と比べた場合はどうなのでしょうか。
Windows Server 2003 R2 との比較を含めて、簡単に実施してみました。使用したコンピューターのスペックは次のとおりです。
Intel Xeon 5506/2.13GHz (Nehalem-EP) ×2 基 (合計 8 コア)、12 GB DDR-3 SDRAM、40 GB SATA DISK
このコンピューターに、Windows Server 2003 R2 x64 Enterprise (SP2)、Windows Server 2008 x64 Enterprise (SP2)、および Windows Server 2008 R2 Enterprise をインストールし、初期状態に Windows Update を実施しただけの環境を用意しました。1 つだけ、アプリケーションとして APC PowerChute Personal Edition をインストールしています。それぞれの環境で、プロセッサ負荷の低い状態における UPS の給電ワット数を見ました。
OS: Windows Server 2003 R2 x64 Enterprise
WATTS: 156W
OS: Windows Server 2008 x64 Enterprise
WATTS: 145W
OS: Windows Server 2008 R2 Enterprise
WATTS: 129W
ワット数は、しばらく目視で監視して、安定している状態の数値です。平均とかではなく、信頼度の高いデータではありません。でも、Windows Server 2003 R2 と Windows Server 2008 R2 では、確かに 20% 程度、消費電力が小さくなっています。そして、Windows Server 2008 はちょうど中間の数値を示しています。Windows Server 2008 R2 のスクリーンショットを見ていただければ一目瞭然ですが、新機能のコア パーキング機能が働いており、8 コア中 6 コアが保留状態になっています。
Windows Server 2008 にはコア パーキングの機能はありませんが、実感として効果的に消費電力が抑えられているようです。実は、監視した 30 分程度の間で、最小ワット数 118 W を出したのは Windows Server 2008 でした。もしかすると、Nehalem-EP 自身の省電力機能 (PowerGate など) の効果かもしれません。長期的にしっかりと計測し、信頼できるデータを得れば、大きな差が表れてくるかもしれません。あるいは、違いは微妙かもしれません。もっとプロセッサ数の多い場合は、省電力効果が大きく出そうです。プロセッサの負荷状態でも変わってくるでしょう。
というわけで、比較対象を Windows Server 2003 R2 したいという気持ちがよくわかたような気がします。