2018/07/24

Windows 10 累積更新の高速(Express)と差分(Delta)の違い

(※ 2020/12/17 追記:Windows 10 ver 1809/Server 2019 からは Express はほとんど使用されなくなっています → 最近のWindows 10/Windows Serverの「累積更新」は差分ダウンロードではなくなったらしい@IT

こちらの差分(Delta)更新プログラムの提供終了(予定)の話題に関連して、「一本化」だとか、「管理者の負担軽減」とか不思議なタイトルの記事を見かけたので...

Windows 10 quality updates explained & the end of delta updates
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Windows-IT-Pro-Blog/Windows-10-quality-updates-explained-amp-the-end-of-delta/ba-p/214426

高速(Express)インストールと差分(Delta)インストールをごっちゃにしている人が多い気がするので、ちょっとまとめてみた。

先に行っておくと、Microsoft Update カタログを使用していない人には、差分更新プログラムの提供終了の影響はまったくなし。気にするひつようもない。


Windows 10 と Windows Server 2016 以降の累積更新プログラム(それ以前のバージョン向けのマンスリーセキュリティ品質ロールアップ(Monthly Rollup)もそう)の更新方法として、上記のブログでは  Full Update、Express Update、Delta Update の 3 つを比較していて、Delta よりも Express のほうがダウンロードサイズが小さいと言っているわけですが、次に示すように、Express Update は Windows Update と WSUS(サードパーティにも 2017年1月に公開)でのみ利用可能で、Delta Update は Microsoft Update Catalog でダウンロード提供されるもの。

Windows Update と WSUS からの配布
●Full Update-フルインストールファイル(windows10-kbXXXXXXX-x64.cab)
●Express Update-高速インストールファイル(windows10-kbXXXXXXX-x64-express.cab)
 ↑都合によりWindows Server 2016 向けのExpress Updateは停止中(2017-10~)

Microsoft Update Catalog からのダウンロード&インストール
●Full Update-累積更新プログラム(windows10-kbXXXXXXX-x64.msu)
 ↑通常、毎月第二火曜日以外のリリースではこちらだけ提供
●Delta Update-差分更新プログラム(windows10-kbXXXXXXX-x64_delta.msu)
 ↑通常、毎月第二火曜日のリリースでは Delta Update 用パッケージが作成される
 ↑2019年2月第二火曜日のリリースを最後に廃止予定なのはこの Delta Update の作成

7 月第二火曜日リリースの Windows 10 ver 1803 の累積更新プログラム KB4338819(OS ビルド 17134.165) の場合、フル.msu は 676.6MB、差分.msu は 433.8MB


Windows Update と WSUS は .cab 形式、 Microsoft Update Catalog は Windows Update スタンドアロンインストーラー(.msu)形式って違いもある。

で、KB4338819(OS ビルド 17134.165) の既知の問題を修正するために翌週はじめ(7/16付)にリリースされた KB4345421(OS ビルド 17134.167)は、フル.msu は 678.2MB、差分.msu は提供なし(第二火曜日リリースの累積更新ではないから)。なので、Microsoft Update Catalog からダウンロードしてインストールする場合は、ほんの少数の修正なのに フル.msu の 678.2MB をダウンロードすることになる。

KB4345421(OS ビルド 17134.167)を Windows Update でインストールする場合、高速インストール(Express Update)が使用される。%Windir%\SoftwareDistribution\Download にダウンロード、展開されたファイルは 244MB


高速インストールで最初にダウンロードされる高速インストールファイル(Windows10.0-KB 4345421-x64-EXPRESS.cab)のサイズは 16.7MB しかない。この -EXPRESS.cab の中には、更新プログラムは 1 つも入っていない。カタログ情報的なものだけ(.manifest、.mum、.cat)。




たぶん、これまでの累積更新プログラムで更新されたコンポーネントの情報なんだと思う。これを現在のシステムにインストールされているコンポーネントのバージョン情報と突き合わせて、更新が必要なコンポーネントを判断して、必要なファイルをダウンロードしてくるのだと思う。その結果が 244MB。これには、-EXPRESS.cab とそれを展開したファイルのサイズも含まれるので、実際のダウンロード サイズはもっと小さいと思う。

差分(Delta).msu のサイズ > 高速(Express)インストールのダウンロードサイズについて

差分(Delta).msu と高速(Express).cab は、前者には更新プログラムが入っていて、後者には入っていないので、当然のこと。比較するべきは、.msu のサイズと高速インストールの総ダウンロードサイズ。差分 .msu は、アーキテクチャ(x86/x64/ARM64)別になっていますが全エディション(Mobile とか HoloLens とかも含む)で共通。そのシステムには不要な更新もことごとく入っています。一方、高速インストールでは更新が必要なものだけがダウンロードされるので、その結果、高速インストールのダウンロードサイズの方が小さくなるというわけ(のはず)。

ちなみに、Windows 10 バージョン 1803(x86)を SAC リリース時の更新メディアでクリーンインストール(OSビルド 17134.112)して、最初に Windows Update を実行すると、KB4345421(OSビルド 17134.166)が高速インストールでインストールされるんですが、そのときに SoftwareDistribution\Download 下にダウンロード、展開された KB4345421 関連のファイルは 100MB程度(一時的に増えたりするけどインストール中100%の時点で)。1 つ前の累積更新 KB4338819(OSビルド 17134.165)のフル .msu は 374.1MB、差分.msu は 225.2 MB。なので、やっぱり高速インストールのほうがダウンロードが少ない。


LCU と SSU について

累積更新プログラムで目にすることがある用語。

●最新の累積的な更新プログラム(Latest Cumulative Update:LCU)
●サービススタック更新プログラム(Servicing Stack Update :SSU)

特定の累積更新プログラムで、直近にリリースされた SSU を要求するものがある。例えば、Windows Server 2016 の7月第二火曜リリースの LCU「KB4338814」は、6月12日にリリースされた SSU「KB4132216」が前提。Microsoft Update Catalog からダウンロードしてインストールする場合は、その前に累積更新プログラムのサポート情報(→ https://support.microsoft.com/en-us/help/KB番号(数字のみ)/)を確認して、前提の SSU が書いていないかどうか確認する必要がある。

数か月、Windows Update をさぼった PC で、Windows Update をかけたら、LCU ではなく、1 つ前とか 2 つ前の CU が降ってくるのは、LCU や 1 つ前の CU が必要としている SSU がまだインストールされていないから(だと思う)。

富山?の置き薬に例えるなら...

(使って減った分の補充の件は置いといて)
●従来品から新製品まですべて持ち歩いている人(Full)
●前回来た時以降に発売された新製品だけ持ち歩いている人(Delta)
●新製品のカタログだけ持ってきて、必要かどうか伺い、これから富山?から持ってきますの人(Express)

高速インストール(Express Update)だからって、Windows Update が高速になるわけでは決してない。容量が減る分、ダウンロードの実時間が小さくなるだけ。それを調べる仕事が超スローなことも。

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