2013/06/10

CW アーカイブ > Microsoft App-V 5.0の変わり様がすごい(その1 App-V Secuencer)

このコンテンツは、今は亡き C○MPUTERW○RLD.JP のブログで過去に公開されていたもののオリジナル原稿です。どこぞからクレームがこない限り、もったいないなぁと思う過去の記事を勝手に再掲載していく予定。どこぞからクレームがついたら、即削除しますが...

まずは、私担当のブログの最後の 7 回ぶん。App-V 5.0 と新しい Office ネタから...

C○MPUTERWRLD.JP Blog > Microsoft App-V 5.0の変わり様がすごい(その1 App-V Secuencer) [2013 年 3 月 4 日]


パッケージ製品(リテール製品)の新しいOfficeは、Microsoft Application Virtualization(App-V)5.0のテクノロジに基づいたクイック実行(Click-To-Run/C2R 2.0)で提供されることは、このブログで説明したとおりです。つい先日始まった「新しいOffice 365」のOffice 365 ProPlusも同じ(Mac版は違います)。今回からはクイック実行の基になった、オリジナルのApp-V 5.0を取り上げます。以前のバージョンのApp-V 4.xと比べると、その変わり様がすごいんです。

マイクロソフトは2012年11月に、ソフトウェアアシュアランス(SA)ユーザー向けに「Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP) 」の最新バージョン、MDOP 2012のサブスクリプション提供を開始しました。MDOPはWindowsデスクトップのためのツール群。MDOP 2012で注目は(私的には)、アプリケーション仮想化テクノロジApp-Vの最新バージョン、App-V 5.0が提供されたことでしょう。このApp-V 5.0ですが、Windows 8に対応したことはもちろんのこと、旧バージョンからいろいろと様変わりしました。

App-Vは、アプリケーションを仮想化してパッケージ化するApp-V Sequencer、アプリケーションの公開とストリーム配信を行うApp-V Server(管理サーバー、データベース、公開サーバー)、およびApp-Vクライアントで構成されます。アプリケーションの公開とストリーム配信の部分は、System Center 2012 Configuration Manager(App-V 5.0はSystem Center 2012 SP1でサポート)を使用した配布や、ファイルコピーによる配布にも対応しています。では、どのように変わったのか、App-V 4.6と簡単に比較してみましょう(App-V 4.6の画面は拙著「Windows Server仮想化テクノロジ入門」(日経BP社http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P94500.html)からの抜粋です)。今回はApp-V Sequencer編です。次回以降、App-V Server編、App-V Client編をお送りします。

アプリケーションのインストール先はQドライブではなく既定のパスのままでOK

App-V Sequencerは、アプリケーションのインストールプロセスを監視して、インストール前のOS環境との差分をパッケージ化するコンポーネントです。これまでのバージョンでは、App-V Sequencerを実行するPC(仮想マシンが最適)にQドライブを準備し、パッケージ化するアプリケーションのインストールパスとして指定する必要がありました。App-Vクライアントには仮想的なQドライブが存在し、そこに配信されたアプリケーションを展開して実行する仕組みでした。

(↓App-V 4.6 SequencerでAdobe Reader Xをパッケージ化しているところ。Qドライブ上のパスにインストールする必要があった)

App-V 5.0はQドライブを使用しません。App-V 5.0 Sequencerは、アプリケーションの既定のパスを指定してインストールできます。また、カスタマイズが不要な場合は、編集画面を使用することなく、すぐにパッケージを作成できるようになりました。

(↓App-V 5.0 SequencerでAdobe Reader Xをパッケージ化しているところ。Qドライブ上のパスにインストールする必要があった)

App-V 4.6の場合は、アプリケーションの配信方法によっていくつか調整する必要がありました(これが曲者でした)が、App-V 5.0は配信方法によるカスタマイズは必要無くなりました。App-V 5.0ではパッケージのファイル形式も変更になっています。App-V 4.6は.sprj(インポート用プロジェクトファイル)、.sft(パッケージ)、.osd(定義ファイル)、.ico(アイコンファイル)、.msi(スタンドアロン環境への配布用)などが作成されますが、.appv(パッケージ)、.xml(定義ファイル)、.msi(スタンドアロン環境への配布用)になります。

ちなみに、Adobe Readerの最新バージョンはXI(11)ですが、App-V 5.0でAdobe Reader XI日本語版はうまく動作させることができませんでした(理由は不明ですが日本語環境の部分が影響しているようです)。Adobe Reader Xなら問題なく動作しました。このように、App-Vを使用して、どんなアプリケーションでも問題なく仮想化できるというわけではありません。

.appvパッケージの実体は.zip

App-V 4.xのパッケージ(.sft)は、クライアントの%PROGRAMDATA%\Microsoft\Application Virtualization Client\SoftGrid Client\Stfs.fsdが提供する仮想的なQ:ドライブにキャッシュとして展開sれました。これに対して、App-V 5.0のクライアントではQドライブは廃止され、App-V 5.0のパッケージ(.appv)は、%PROGRAMDATA%\App-Vの下にフラットな形式で展開されます。

(↓上のウィンドウはApp-V 5.0クライアントにダウンロードされたキャッシュの内容、下のウィンドウは共有フォルダーにある.appvパッケージの拡張子を.zipに変更して参照したところ)



新しいOfficeはシーケンスできない!?

Office 2007以降のOfficeアプリケーションは、App-Vで仮想化して展開することができます。ただし、正しく動作させるには、いろいろと調整が必要でした。ライセンス認証まわりだとか、とにかく大変なんです。たぶん。実は、Officeを仮想化するには、ボリュームライセンス製品であることが必須なので実際に試してみたわけではありません。

App-V 5.0では、Office 2007、Office 2010、およびOffice 365 ProPlusの仮想化がサポートされています。Office 2007およびOffice 2010については、App-V 5.0 Sequencerを使用して仮想化できるようです。でも、新しいOfficeは、App-V 5.0 Sequencerによる仮想化はできないようです。新しいOfficeについては、Office Deployment Tool for Click-To-Runというツールを使用して、クイック実行版のOffice 365 ProPlusを、.appv形式に変換する形になるようです。詳細はまだ不明な部分がありますが、以下のサポート技術情報を読み解いてみてください。

Supported scenarios for deploying Microsoft Office as a sequenced App-V Package
[URL]  http://support.microsoft.com/kb/2772509



・・・

ところで、App-Vは、デスクトップや仮想デスクトップと、Windows Serverのリモートデスクトップサービス(RDS)のどちらでも利用できます。MDOP 2012に含まれるのは、デスクトップや仮想デスクトップ用のApp-V for Desktopsの方です。App-V for RDSの使用権は、MDOPではなく、RDS CALに含まれます。Windows Server 2012のRDSに対応した最新のApp-V 5.0 for RDSは、ボリュームライセンスサービスセンター(VLSC)から入手できるそうです。MSDN/TechNetサブスクリプションでは、2012年1月末からダウンロード可能になりました。

System Center 2012 Virtual Machine Managerでは、App-V 4.xをベースにしたサーバー版のApp-Vである「Server App-V」が提供されましたが、最新のSystem Center 2012 SP1のものも、まだApp-V 4.xがベースです(QドライブやSFT形式を使用します)。



ご注意: この記事は過去に C○MPUTERW○RLD.JP にて掲載されていたブログの再掲載です。

この記事中の 新しい Office のシーケンスについては、このブログの以下の投稿をご覧ください。

新しい Office の企業内クイック実行展開と App-V 展開 (に成功)
[URL] http://yamanxworld.blogspot.jp/2013/03/office-365-proplus-click-to-runoffice.html

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