2013/03/25

新しい Office の企業内クイック実行展開と App-V 展開 (に成功)

Office 365 ProPlus を社内の共有フォルダーからクイック実行(Click-To-Run)展開できるようにするツール「Office Deployment Tool for Click-to-Run」が先月公開されてました。このツールを使用すると、共有からのクイック実行(Click-To-Run)の他、Office 365 ProPlus のダウンロード ファイルを App-V 5.0 のパッケージ(.appv)に変換することもできます。

Office Deployment Tool for Click-to-Run
[URL] http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=36778

早速試してみました。今朝から初めて、1日これにはまってしまいました。

Office 365 ProPlus は、クラウドでサブスクリプション提供される新しい Office です。Office 365 ProPlus 単独でも契約できるようですが、Office 365 のサービスの一部として利用することもできます。今回は、Office 365 Midsize Business の試用版を使用しています。

通常は、ユーザーが Office 365 のポータルにアクセスして、最新バージョンの Office をインストールする」からインストールを実行します。パッケージ版の新しい Office と同様に、Office 365 ProPlus はクイック実行(Click-To-Run)でインストールされます。

クライアント PC が大量になると、この方法は効率的ではないですし、ネットワーク帯域がもったいないですよね。そこで、Office Deployment Tool for Click-to-Run の出番です。

社内共有にインストール ソースをダウンロードする

officedeploymenttool.exe をダウンロードして実行すると、setup.exe と configuration.xml の 2 つのファイルが展開されます。configuration.xml はサンプルなので、例えば、customconfiguration.xml というファイル名でコピーして、SourcePath に社内の共有フォルダーのパスを指定し、Office 365 ProPlus と Visio の Language を ja-JP に設定します。その他、クライアントに展開する際の無人インストール設定なども行えます。




setup.exe とカスタマイズした構成ファイル(customconfiguration.xml) を共有フォルダーにコピーして、次のコマンドラインを実行します。

\\サーバー名\共有名\Setup.exe /download  \\サーバー名\共有名\customconfiguration.xml

これで、Office 365 ProPlus のインストール ソースを提供している Web サイトから、共有フォルダー内の Office サブフォルダーにファイルがダウンロードされます。


ダウンロードされたファイルはこんな感じ。


社内共有をインストール ソースとしてクライアントに Office 365 ProPlus をクイック実行展開する準備はこれで完了。

なお、インストール ソースのダウンロードは、Office 365 ProPlus の契約が無くても、できちゃいます。インストールしたアプリケーションを実行するには、Office 365 ProPlus の契約が必須です。

クライアントに共有からクイック実行

クライアント PC (Windows 7 または Windows 8)では、次のコマンドラインを管理者として実行することで、Office 365 ProPlus のインストールが完了します。簡単です。

\\サーバー名\共有名\Setup.exe /configure  \\サーバー名\共有名\customconfiguration.xml

構成ファイル(.xml)の中では、更新場所の指定も可能です。更新を共有から提供する場合は、定期的に Setup.exe /download を実行して、共有のソースを更新すればよいのでしょう。たぶん。

App-V パッケージに変換する

Office Deployment Tool for Click-to-Run を使用すると、Office 365 ProPlus をクイック実行で展開する代わりに、App-V 5.0 でストリーミング配信するための App-V パッケージを作成することもできます。それには、次のコマンドラインを実行します。/packageer オプションは、Office 2013 Preview 版の Office Deployment Tool には存在しなかった、新しい機能です。

\\サーバー名\共有名\Setup.exe /packager  \\サーバー名\共有名\customconfiguration.xml \\サーバー名\AppVパッケージ用の共有パス

App-V パッケージ用の共有パスに O365ProPlusRetail_VisioProRetail_ja-jp_x86.appv が出来ました。 
 
この App-V パッケージは、App-V Server の公開サーバーや System Center 2012 SP1 Configuration Manager でクライアントに公開または配布できます。これらのファイルをクライアントにコピーして、Add-AppvClientPackage などのコマンドレットを使用して利用可能にすることもできます。

クイック実行版の新しい Office は、アプリケーションを選択してインストールするということができません(常にすべてインストールされます)が、 App-V パッケージに変換すると、アプリケーションごとに有効、無効を細かく設定することができます。





(↑私の IE 10 環境だろ、下のほうにある有効化のチェックボックスをクリックしようとしても、勝手に上にスクロールしてしまい、なかなかチェックを外せない状況でした。GUI ではどうしようもないときは、構成のエクスポート→xmlを書き換え→構成をインポートして上書きで何とかしませう)

App-V で配信でけへん!?


残念ながら、App-V Client へのストリーミングは失敗しました。イベント ログを見ると、キャッシュへのダウンロード途中で失敗しているようです。



こんな Hotfix も出ていますが、この問題には効果が無いようです。

Description of Hotfix Package 1 for Microsoft Application Virtualization 5.0
[URL] http://support.microsoft.com/kb/2799153/en-us

この問題を半日悩んでいましたが、ふとクライアントをオフラインにして Add-AppvClientPackage <パッケージのパス.appv> | Publish-AppvClientPackage を実行してみたところ、原因がわかりました。embedded scripting 機能が無効になっていることが原因のようです(App-V Client の既定は無効)。





Set-AppvClientConfiguration -EnablePackageScripts $true (または1) を実行したところ、Add-AppvClientPackage に成功。オンラインの App-V Client でも成功しました。この設定については、どこにも書いてないようなので(見つけられていないだけかも)、知らないと苦労するでしょう。私みたいに。App-V Client をインストールする際に有効化したいなら appv_client_setup.exe /ENABLEPACKAGESCRIPTS=1 /q でインストールすればよし。

初回起動時に、ライセンス認証が要求されます。ここまでは、Office 365 や Office 365 ProPlus の契約が無くても(評価版も申し込んで無くても)利用できるはずです。

さて、これだと仮想デスクトップ プールの自動ロールバック機能を使用していると、ログオンするたびに認証が必要になるのでは? RD セッション ホストの場合 (App-V for RDS を使用) はライセンスはどうなるの? という疑問がわくかもしれませんが、どちらもサポートされない利用方法なので注意してください。

以下のサポート技術情報に書いてあるとおり、Office 365 ProPlus の App-V による展開は、通常の物理コンピューター (Winodws 7 または Windows 8) と個人用仮想デスクトップでのみサポートされます。RD セッション ホストや 仮想デスクトップ プール、Windows To Go では、App-V による展開はサポートされない方法です。

Supported scenarios for deploying Microsoft Office as a sequenced App-V Package
[URL] http://support.microsoft.com/kb/2772509


また、ボリュームライセンスではクイック実行形式ではない Office Personal 2013 や Office Professional 2013 が存在しますが、これを App-V Sequencer でパッケージにする方法もサポートされません。新しい Office を App-V で展開する方法は、Office 365 ProPlus を Office Deployment Tool for Click-To-Run で変換する方法だけがサポートされます。

『App-V は奥が深い、でも情報が少ない、ハマると時間がかかる』

2013/12/06 追記)
2013年12月から Office Professional Plus 2013 の App-V 展開もサポートされ、プールされた仮想デスクトップや RD セッション ホスト、Windows To Go にも展開できるようになりました。

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