『Windows Server 2012 R2 Preview > Linux ゲスト サポートに関する情報』(2013/7/25) でお伝えしたように、今月上旬にリリースされた SUSE Linux Enterprise Server (SLES) 11 SP3 には、Hyper-V 対応の最新の Linux Integration Services (LIS) がビルトインされていて、これまで Linux ゲストで利用できなかった動的メモリやライブ バックアップに対応しました。 早速、SLES 11 SP3 評価版をダウンロードして試してみました。
動的メモリは、SLES 11 SP3 の新規インストールをしている時から既に機能します。
上の画面は、Windows Server 2012 R2 Preview の Hyper-V 環境ですが、現行バージョンの Hyper-V でも試してみました。手っ取り早く Windows 8 Hyper-V でインストールを開始してみたところ、ちゃんと動的メモリが動きました。
話を Windows Server 2012 R2 Preview Hyper-V に戻しまして、Hyper-V 仮想マシンに SLES 11 SP3 をインストールする手順について補足しておきます。
(1) 仮想マシン作成時に既定で作成される容量可変タイプの仮想ハード ディスク (VHDX) は使わないこと。
『【これ重要かも】CentOS 5.9 を試してたら VHDX と EXT3 の組み合わせ問題に遭遇?』で紹介したように、容量可変タイプの VHDX と ext3 の組み合わせは無駄にディスクを消費します。次の画面は、64 GB の VHDX を割り当てたときのもの。ext3でフォーマットが完了した時点で約 13 GB に膨れ上がり、ファイルのコピーが始まるとそこからさらにサイズが成長していきます。
この問題を回避するには、容量固定 VHDX にするか、容量可変 VHD にするか、 あるいは New-VHD コマンドレットでブロックサイズ 1MB (既定は 32 MB) の容量可変 VHDX を作成して割り当てます。
次の画面は、New-VHD で作成したブロック サイズ 1MB の容量可変 VHDX に SLES 11 SP3 をクリーン インストールした直後の状態です。インストールが完了した時点で 5GB で済みました。
ちなみに、容量可変 VHD にインストールした場合は、7GB ほどでした。VHDX も VHD も、既定のソフトウェア+Web サーバーでインストールしました。
(2) “ハードウェアの時刻は UTC に設定”は気にする必要ないみたい。
Linux はハードウェア クロックに UTC、Windows はローカル タイムという仕様があるため、これまで Hyper-V に Linux ゲストをインストールする場合は “ハードウェアの時刻は UTC に設定” をオフにするように拙著や『Linux ゲストの時計が+9時間になってしまって悩んでいる方へ』などで薦めてきました。が、Windows Server 2012 Hyper-V 移行は気にしなくていいみたいです。どちらで設定した場合も、問題なく日本の時を刻みました。統合サービスの時刻同期を切って確認してみたりしましたが、時刻が9時間ずれるということはありませんでした。オン/オフのどちらでも、あとから変更しない限り大丈夫のようです。
ただし、LIS が利用できない Linux ゲストでどうなるのかまでは確認していません。おかしいなと思ったら、オフにしてください。
(3) LIS のコンポーネントを確認してみた。
hv_balloon (一部の Linux には既にありましたが) と hyperv_fb が新たに仲間入り。hv_balloon は動的メモリをサポート、hyperv_fb は VGA に変わる統合タイプのビデオ ドライバー (VESA Frame Buffer Driver) です。
YaST2 の「グラフィックス カードとモニター」を開くとこんな感じ。
これまではゲストの解像度を強制するためにカーネル起動オプション (/boot/grub/menu.lst) に vga=0x31a (1280x1024 の場合) とか書きましたが、hyperv_fb が利用できる場合は video=hyperv_fb:1024x768 のように書くことができるそうです (だからどうした)。
ちょこっと試してみたいときは、起動時にここで指定できます(既定はvga=ほにゃらら)。ただし、日本語キーボードだとアンダーバー(_)を入力するのに悩むかも。その場合は、F4を押して一時的にEnglish-US に変更して Shift+[=_ほ] を押すと入力できますよ。
(4) その他のコンポーネント
hv_vss_daemon というのが追加されています。たぶんこれがライブ バックアップをサポートするやつ。あと、hv_get_dhcp_info、hv_get_dns_info、hv_set_ifconfig という 3 つのスクリプトが追加されています。これは、hv_kvp_daemon と連携してフェールオーバー TCP/IP (Hyper-V レプリカのIPアドレス上書き機能) を実現するものだと思います。
(5) あいかわらず...
Hyper-V マネージャーの「ネットワーク」タブは、以前と変わらず“低下(統合サービスのアップグレードが必要です)”と表示されます。
動的メモリはインストール時点で動作が確認できたので、次はライブ バックアップを試してみるつもり。
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