2010/2/24 の投稿 MDOP 2010 RTM (ただし、日本語版はまだ) で、MDOP 2009 R2 との差異について、Microsoft Application Virtualization だけが 4.5 SP1 から 4.6 に更新されると書きましたが、ちょっと正確ではありませんでした。
新バージョン 4.6 が提供されるのは、以下の 3 種類で、サーバー コンポーネントは 4.5 SP1 のままです。
App-V Desktop Client 4.6 (32-bit/64-bit) ・・・ MDOP 2010 メディアに収録
App-V Sequencer 4.6 (32-bit/64-bit) ・・・ MDOP 2010 メディアに収録
App-V for Remote Desktop Services (RDS) 4.6 (32-bit/64-bit) ・・・ ダウンロード提供
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=e633164f-9729-43a8-9149-de651944a7fe&displaylang=en
App-V と RemoteApp の合わせ技なんてどう?
App-V Sequencer 4.6 の 64-bit 対応により、64 ビット環境で 64 ビットおよび 32 ビット アプリケーションのパッケージを作成できるようになります。App-V Desktop Client 4.6 および App-V for RDS 4.6 により、64 ビット環境のデスクトップに、64 ビットおよび 32 ビット アプリケーションを配信できるようになります。Windows Server 2008 R2 は 64 ビットのみの提供であり、App-V for Terminal Services 4.5 SP1 以前をインストールすることができませんでした。App-V for RDS 4.6 は、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2008 x64、Windows Server 2003 R2 x64 をサポートします。 右のスクリーンショットは、App-V for RDS 4.6 でユーザー セッションに Adobe Reader 9.3.1 を配信し、RemoteApp でアプリケーションを公開したものを起動している状態です (Adobe Reader 9 アイコンは、サーバー側にインストールされているもの、Adobe Reader 9.3.1 (App-V) は、App-V の仮想アプリケーション)。単に、ユーザー セッションにアプリケーションを配信するだけでなく、このように RemoteApp に組み合わせることもできます。なお、現在、App-V 4.6 は英語版のみの提供ですが、日本語のアプリケーションを配信するぶんには問題ありません。
そのほか、App-V 4.6 の新機能と既知の問題については、以下の URL で確認できます。
Microsoft Application Virtualization 4.6 について
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ee958101.aspx
VDI のための新機能、読み取り専用共有キャッシュ (ReadOnly Shared Cache)
App-V 4.6 の注目の新機能として読み取り専用共有キャッシュ機能があります。App-V の仮想アプリケーションは、実行準備が整ったイメージが Q: ドライブにキャッシュされます。この Q ドライブの実体は SFTFS.SFD というファイルで、通常、C: ドライブ内に存在します。読み取り専用共有キャッシュ機能を使用すると、SAN ストレージ (推奨) や共有フォルダーに配置したキャッシュを読み取り専用で複数のクライアントから使用できます。VDI (仮想デスクトップ インフラストラクチャ) と組み合わせることで、仮想デスクトップのサイズを小さく維持でき、ディスク領域を効率的に使用できるようになります。
読み取り専用共有キャッシュ機能の構成方法については、以下の URL で説明されています。
How to Configure a Read-only Cache on the App-V Client
http://technet.microsoft.com/en-us/library/ee956915.aspx
ちょっとわかりにくい部分もあるので、ざっと手順を説明します。
- ステージング用の PCに App-V Desktop Client 4.6 環境を用意します。この PC で、すべての仮想アプリケーションを 100 % ロードし、すべてのキャッシュを含む SFTFS.SFD を作成します。
- 作成した SFTFS.SFD をすべてのクライアントからアクセス可能な SAN または共有フォルダーにコピーします。32 ビット クライアントの場合は、C:\Users\Public\Documents\SoftGrid Client\SFTFS.FSD にファイルがあります。共有のアクセス許可は、「Everyone: 読み取り」でよいのですが、SFTFS.SFD のファイル自身の ACL の設定でも、「Everyone: 読み取り」のアクセス許可を設定することを忘れずに。アクセス許可が不十分だと、Application Virtualization Client サービスが依存する sftfs サービスが 「システム エラー 5 アクセスが拒否されました」で起に失敗します。
- VDI の仮想デスクトップのゲスト OS を起動し、App-V Desktop Client 4.6 を通常の方法でインストールします。インストール後、3次のレジストリを変更または作成します (以下は32 ビット環境の場合。64 ビット環境ではキーがちょっと異なります)。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\SoftGrid\4.5\Client\AppFS
FileName (文字列型) ・・・ 読み取り専用でアクセスする SFTFS.FSD のパス (UNC パスなど)に変更します。この設定は、必須です。
ReadOnlyFSD (DWORD) ・・・ 1 に設定します。この設定は、必須です。
ErrorLogLocation (文字列型) ・・・ SFTFS.etl のパスを設定します。この設定は、オプションです。 - 仮想デスクトップのゲスト OS を再起動します。
VDI と App-V を組み合わせ、さらに読み取り専用共有キャッシュを利用することで、仮想デスクトップのイメージサイズを、数GB~数十GB のレベルで節約することができます。
さて、RDS の RemoteApp、VDI の RemoteApp、App-V をうまく組み合わせると、さまざまな OS 向けのアプリケーションを、1 つのデスクトップにシームレスに統合できるようになります。しかし、あまりやりすぎると、アプリケーションのタイプ (仮想アプリか RemoteApp か、ローカル インストールか) や実行している場所 (サーバーかローカルか、仮想デスクトップか) について混乱してしまいそうです。エンド ユーザーは知らなくてもいいものですが、管理者自身がわからなくなってしまうと大変です。