Misc.

2010/03/19

Windows Virtual PC のプロセッサ要件を解除する更新プログラム

昨日の深夜 (米国時間 2010 年 3 月 18 日 9:00 AM) に、マイクロソフトの VDI 戦略に関するいくつかの発表がありました。Windows Server 2008 R2 SP1 の Hyper-V で Dynamic Memory が追加されること、RDP (Remote Desktop Protocol) に、3D をサポートする RemoteFX が追加されること、VDI ライセンスの緩和 (SA ユーザーは VECD for SA が不要になる)、Citrix とのアライアンス強化などです。詳しくは、以下を参照 (すべて英語)。

Web Cast: Desktop Virtualization Hour
http://www.desktopvirtualizationhour.com/
Press Release: Microsoft Accelerates Desktop Virtualization
http://www.microsoft.com/Presspass/press/2010/mar10/03-18DesktopVirtPR.mspx

発表の中で、Windows XP Mode のハードウェア要件の解除がありました。

これまで、Windows XP Mode というか、Windows Virtual PC を利用するためには、仮想化テクノロジ搭載の x64 プロセッサが必要でした。この要件を満たさない Windows 7 PC にも Windows Virtual PC や XP Mode をインストールすることはできましたが、Windows Virtual PC を利用しようとすると、「このコンピューターではハードウェア対応仮想化がサポートされていないため、Windows Virtual PC を起動できません。」などのメッセージが表示され、ブロックされます。

2010 年 3 月 18 日、この制限を解除する更新プログラム Windows6.1-KB977206-x86.msu および Windows6.1-KB977206-x64.msu がリリースされました。

Error message about hardware-assisted virtualization for Windows XP Mode in Windows Virtual PC on a computer that is running Windows 7
http://support.microsoft.com/kb/977206

x86 プロセッサ PC や、仮想化テクノロジ非搭載の x64 プロセッサ PC でも、Windows Virtual PC をインストールし、さらにこの更新プログラムを適用することで、Windows Virtual PC が利用できるようになります。(3/19 13:40 追記) Windows XP Mode のダウンロード ページにある[Windows XP Mode update]ボタンからも上記の更新プログラムがダウンロードできます。
ただし、上記サポート技術情報にあるように「重要 この更新プログラムは、Windows XP Service Pack 3 の仮想マシンのみをサポートします」だそうです。Windows Virtual PC がサポートするのは、Windows XP SP3、Windows Vista、Windows 7 ですが、この更新プログラムを利用する環境では、Windows XP SP3 のみが正式にサポートされます。つまり、Windows XP Mode は利用できます。(3/19 13:40 追記) Windows XP Mode のダウンロード ページでは[Windows XP Mode update]となっていますが、XP Mode を更新するものではなく、Windows Virtual PC に対するパッチです。(3/23 9:30 追記) ゲスト コンポーネント (統合コンポーネント) は更新されています。更新が必要な場合は、仮想マシンの[ツール]メニューに更新メニューが表示されるはずです。

こんなこともできます。このスクリーンショットは、Windows 7 Ultimate ゲストを実行する Hyper-V 仮想マシンで Windows XP Mode を実行しているところです。もちろん、これはサポート対象外の利用です。Hyper-V は、仮想マシン内で仮想化テクノロジを実行することをサポートしていません。

ちなみに、Windows Virtual PC は仮想マシンで USB デバイスがサポートされますが、このスクリーンショットの仮想マシンでは使えません。Hyper-V 仮想マシンが USB デバイスをサポートしていないからです。

いくつか制約はあるものの、Windows Virtual PC がほとんどの Windows 7 PC で利用できるようになったことは、間もなくリリースされる Microsoft Enterprise Desktop Virtualization (MED-V) 1.0 SP1 にとっても朗報でしょう。MED-V 1.0 SP1 は Windows 7 にようやく対応しますが、Windows Virtual PC を利用できる PC が少ないと、導入が進まないでしょうから。(2010/3/24 追記) MED-V 1.0 SP1 (現在 RC) は Windows 7 に対応しますが、Virtual PC 2007 SP1 を使用する必要があるようです。MED-V 1.0 SP1 を Windows Virtual PC 環境で使用することはできません。

※2020年1月21日追記:
これから約 10 年後、Windows 7 のサポートは終了しました。それ以前に、XP Mode に関連する修正プログラムは入手できなくなっていると思います。これから新規に XP Mode をやろうとしても難しいと思います。