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2010/03/04

“古すぎる” P2V ソースホスト

前回に引き続き、Microsoft System Center Virtual Machine Manager (SCVMM) 2008 R2 についての Tips です。今回は、SCVMM の「物理サーバー変換 (P2V) 」で陥るかもしれない、“古すぎる” コンピューターの問題です。最近は“美しすぎる・・・”というのが流行っていますが、“古すぎる”コンピューターは厄介なものです。


SCVMM の物理サーバー変換 (P2V) を使用すると、Windows 2000 Server SP4 以降を実行する物理サーバーをウィザードによる簡単な操作で P2V (Physical to Virtual Machine) 変換できます。Windows Server 2003 以降はオンライン P2V、Windows 2000 Server はオフライン P2V で変換できます。しかし、変換元が“古すぎる”コンピューターの場合、思わぬ落とし穴が待っています。

SCVMM の P2V 変換機能を検証するため、手持ちで空いている古ーい PC に Windows Server 2003 R2 SP2 の環境を構築し、P2V 変換で仮想マシンに変換してみました。変換元のハードウェアは、偶然にも Hyper-V や Virtual Server がエミュレートするのと同じ Intel 440BX マシンです。ACPI  (Advanced Configuration and Power Interface) 以前のハードウェアなので、シャットダウンしても電源が自動的に切れません (これが後から関係してきます)。

「物理サーバー変換 (P2V) ウィザード」では、まず、VMM エージェントがソースホストに展開され、システムがスキャンされます。その後、VHD の変換方法や配置先ホスト、保存先パス、仮想ネットワークの割り当てなどを指定して、変換を実行します。オンライン P2V 変換の場合、ボリューム シャドウコピー サービス (VSS) によりディスク イメージのスナップショットが作成され、スナップショットがネットワーク経由で BITS 転送され、VHD に書き込まれます。ディスクが変換されると、あとは仮想マシンにゲスト コンポーネント (Hyper-V 統合サービス) がインストールされ、完了します。

今回は “古すぎる”コンピューターであることが原因で、変換ジョブの一部が失敗しました。具体的には、変換ジョブの最終段階でゲスト コンポーネントのインストールに失敗しました。しかたなく、手動で Hyper-V 統合サービスのインストールを試みますが、「セットアップでこの仮想マシンの HAL をアップグレードできません」とエラーになってしまいます。

これが、“古すぎる”コンピューターの落とし穴です。ACPI 非対応のコンピューターには、HAL (ハードウェア抽象化レイヤ) として “標準 PC” がインストールされます。一方、Hyper-V 仮想マシンは ACPI 対応コンピューターであり、Hyper-V 統合サービスは ACPI 互換 HAL (ACPI ユニプロセッサ PC や ACPI マルチプロセッサ PC HAL) を前提としています。ACPI 非対応コンピューターを P2V 変換すると、VHD 内の OS イメージは “標準 PC” の HAL のままです。“標準 PC” から ACPI 互換 HAL への変更は、新規インストール以外ではサポートされない方法です (逆方向の ACPI HAL から非 ACPI HAL への変更は可能です)。

Windows XP または Windows Server 2003 セットアップ後の HAL オプション
http://support.microsoft.com/default.aspx/kb/309283/ja
~抜粋~
デバイス マネージャでは、非 ACPI HAL から ACPI HAL への変更は許可されません。この種の変更には、Windows XP または Windows Server 2003 の新規インストールが必要です。

結果として、変換後の仮想マシンは、エミュレート環境でしか動かないものになります。統合サービスが提供する、マウス統合や時刻同期、シャットダウン連携、統合タイプのネットワーク アダプター、SCSI アダプターは利用できません。また、手動でシャットダウンしても、電源が自動的に切れない仮想マシンになってしまいました。

SCVMM の「物理サーバー変換 (P2V) ウィザード」は、非 ACPI コンピューターについての問題を指摘してくれません。SCVMM のヘルプにも、非 ACPI コンピューターについての制約は記載されいません。




“古すぎる”コンピューターには、気をつけなはれや...