第 2 回の今回 (更新日が同じですけど)は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 5.4 x86 を Hyper-V 仮想マシンのゲスト OS としてインストール、構成する手順です。x64 (x86_64) も同じ手順です。
RHEL 5.4 の ISO イメージ (30 日評価版) は、RED HAT NETWORK (RHN) からリクエストできます。RHN を利用するには、ユーザー登録が必要です。評価版をリクエストすると、30日間 (サポートなし) の評価サブスクリプションのインストール番号と、ISO イメージのダウンロード リンクが提供されます。今回は、x86 版の rhel-server-5.4-i386-dvd.iso を使用しました。x64 (x86_64) 版は、rhel-server-5.RED HAT NETWORK ログイン ページ
https://rhn.redhat.com/rhn/Login.do
Step 1: RHEL 5.4 ゲストのインストール
次の手順で 仮想マシンを作成し、ゲスト OS として RHEL 5.4 をインストールします。
- RHEL 5.4 用の仮想マシンを作成します。今回は、仮想プロセッサ 1 つ (必須)、メモリは1,024 GB (サイズは任意)、起動用のディスクとして IDE 接続の 127 GB 容量可変 VHD 1 つ、ストレージ VSC 確認用に SCSI 接続の 127 GB 容量可変 VHD 1 つ、ネットワーク VSC 確認用に(統合タイプの) ネットワーク アダプター 1 つを割り当てます。
- 仮想マシンに RHEL 5.4 の ISO イメージをマウントし、仮想マシンを起動します。
- ISO イメージから起動したら、boot: プロンプトで [Enter] を入力し、グラフィカル モードでのインストールを開始します。
- CD メディアの検査の画面では、[OK] または [Skip] のいずれかを選択します。ISO イメージを初めて使用する場合は、検査することをお勧めします。
- グラフィカルなインストール画面 (Anaconda) が起動したら、[Next] をクリックします。
- 言語選択の画面 (What language wold you like to use durning the Installation process?) が表示されたら、[japanese (日本語)] を選択し、[Next] をクリックします。
- [このシステム用の適切なキーボードを選択します。] の画面で、[日本語] が選択されていることを確認して [次] をクリックします。
- [インストール番号] の入力画面が表示されるので、評価用サブスクリプションのインストール番号を入力します (インストール番号の入力を省略することもできます)。
- [警告: デバイス hda (Virtual HD xxx MB) にあるパーティションテーブルを読み込めませんでした。~中略~ すべてのデータを消去して、このドライブを初期化しますか?] と表示されるので、[はい] をクリックします。
- パーティション設定の画面が表示されたら、既定の [選択したドライブ上の Linux パーティションを削除してデフォルトのレイアウトを作成します。] のまま [次] をクリックします。
- [警告: 次のドライブにあるすべての Linux パーティション (及びそのパーティションにある全データ) を削除することを選択しています: ~中略~ 本当にすべてを削除しますか?]と表示されるので、[はい] をクリックします。
- タイムゾーンの設定画面 (マップ内で地域を選んでクリックしてください:) では、[アジア/東京] が選択されていることを確認します。また、[システムクロックで UTC を使用] のチェックを外して、[次] をクリックします。[システムクロックで UTC を使用] のチェックが有効なままだと、起動ごとに 9 時間時計がずれてしまうという問題に悩むことになるので要注意。その理由は、以前の投稿 「Linux ゲストの時計が+9時間になってしまって悩んでいる方へ」 をご覧下さい。
- Root アカウントのパスワードを設定して、[次] をクリックします。
- 追加でシステムに組み込むソフトウェアの選択画面が表示されます。既定では [仮想化] が選択されていますが (インストール番号の入力を省略した場合、[仮想化] オプションは表示されません)、このチェックを外し、[ソフトウェア開発] をチェックします。 [仮想化] を選択した場合、Xen 対応カーネル (el5xen カーネル) がインストールされてしまいます。Linux ICs v2 のために、Xen 対応カーネルは必要ありません。[ソフトウェア開発] は、Linux ICs v2 をビルドするために必要です。その他のオプションは、システムの用途に合わせてカスタマイズしてください。
- [次] をクリックして、RHEL 5.4 のインストールを開始します。
- [おめでとうございます。インストールが完了しました。] と表示されたら、[再起動] をクリックします。
- 再起動後、システムの初期設定のセットアップが続行されます。[ようこそ] 画面では、[進む] をクリックします。
- [ライセンス同意書] の画面で、ライセンスの内容を確認し、同意して [進む] をクリックします。以降のオプションは、適宜設定してください。ただし、[ソフトウェア更新の設定] 画面では、「システム上のネットワーク接続が使用できない状態です。今回、ご使用のシステムはソフトウェア更新の設定ができません」と表示されます。あせらないでください。仮想マシンに設定した統合タイプのネットワーク アダプターは、Linux ICs v2 をインストールするまで利用できません。このエラーは無視して、[進む] をクリックしてください。
以上で RHEL 5.4 のインストールは完了です。RHEL 5.4 に root または作成したユーザーでログインし、SCSI デバイスやネットワーク アダプターが存在しないことを確認します。これらは、Linux ICs v2 をインストールすることで利用可能になります。
- 次のコマンドラインを実行して、ネットワーク アダプターが存在しないことを確認します。
$ /sbin/ifconfig - 次のコマンドラインを実行して、SCSI コントローラーが存在しないことを確認します。
$ cat /proc/scsi/scsi - [論理ボリューム管理][システム][管理][論理ボリューム管理] を開き /dev/sda (SCSI 接続ディスク)が存在せず、/dev/hda (IDE 接続ディスク) のみであることを確認します。
続いて Linux ゲストに Linux ICs v2 をインストールします。RHEL 5.4 へのインストールは、SLES 11 よりも簡単です。
- RHEL 5.4 ゲストに root アカウントでログインします。root 以外のユーザーでログインして su や sudo で切り替えて Linux ICs v2 のインストール作業を行った場合、パス (/sbin や /usr/sbin など) の関係でインストールが失敗して苦労することになります。root ログインして作業することをお勧めします。
- 仮想マシンに Linux ICs v2 の ISO イメージ (LinuxIC v2.iso) をマウントします。
- 次のコマンドラインを実行して、ISO イメージの中身をすべて /opt/linux_ic_v2 にコピーします。なお、ISO イメージの実際のマウント ポイント (/media/CDROM など) は、mount コマンドなどで確認してください。コピーが完了したら、マウントを解除し、仮想マシンから ISO イメージを解放します。
# mkdir /opt/linux_ic_v2
# cp /media/CDROM/* /opt/linux_ic_v2 -R
# umount /media/CDROM - 次のコマンドラインを実行して、Linux ICs v2 のコンポーネントをインストールします。[*** The drivers have been installed successfully. ***] と表示されれば完了です。
# /opt/linux_ic_v2/setup.pl drivers - RHEL 5.4 では、マウス統合のための inputvsc をインストールできます。inputvsc は、Citrix Satori Project からダウンロードできます。仮想マシンに inputvsc.iso をマウントしたら、root アカウントでログインして、次のコマンドラインを実行します。
# mkdir /opt/inputvsc
# cp /media/CDROM/* /opt/inputvsc -R
# umount /media/CDROM # /opt/inputvsc/setup.pl inputvsc
Step 3: 動作確認
次の手順で Linux ICs の動作を確認します。
- /sbin/lsmod |grep vsc を実行して、vmbus、netvsc、storvsc、blkvsc、inputvsc がロードされていることを確認します。
- [Ctrl]+[Alt]+[←] キーを使用しなくても、ホスト OS とゲスト OS 間でマウスを移動できることを確認します。
- /sbin/ifconfig を実行して、ネットワーク アダプターとして seth0 が存在することを確認します。
- cat /proc/scsi/scsi を実行して、SCSI デバイスが存在することを確認します。scsi0 (Vender: Msft Model: Virtual Disk Type: Direct-Access) が SCSI ディスク (/dev/sda) になります。
Step 4: Linux ゲストの追加の構成
Linux ICs v2 の Read Me ドキュメントは、Step 3 での説明しかありません。しかし、まだゲストの時刻同期や SCSI ディスクの構成など、やるべきことが残っています。
時刻同期:
Linux ICs v2 には、ホストとの時刻同期機能が含まれていません。そのため、NTP デーモンなどを構成して、外部タイムソースと同期するように構成する必要があります。Linux ICs v2 をインストールして、netvsc が利用可能になれば、NTP デーモンによる時刻同期が可能になります。
X11 画面解像度の構成:
仮想マシンの X11 の解像度が、物理サーバーのコンソールよりも大きなサイズに自動構成されてしまう場合があります。その場合は、vi エディター (またはお好みのエディター) を使用して /etc/X11/xorg.conf ファイルを開き、以下の場所に Modes "1024x768" (1024×768 に設定する場合) の行を追加して上書き保存します。ゲスト OS を再起動すれば、指定した解像度に変更されます。
Section "Screen"
...
SubSection "Display"
Viewport 0 0
Depth 24
Modes "1024x768"
EndSubSection
EndSection
SCSI ディスクの初期化:
- [システム] メニューから [管理] の [論理ボリューム管理] を開きます。
- 論理ボリューム管理を使用して [初期化されていないエンティティー] にある [/dev/sda] を選択し、[エンティティーを初期化] をクリックします。
- [割り当てられていないボリューム] に [/dev/sda] パーティション 1 が表示されるので、[新しいボリューム グループの作成] または [既存のボリューム グループに追加] をクリックして、新しいボリューム グループ [VolGroup01] を作成するか、既存の [VolGroup00] に領域を追加します。
- 私の環境では、この後、[論理ボリューム管理] を使用して論理ボリュームの作成を行うことができませんでした。そこで、/usr/sbin/lvcreate コマンドや /sbin/mkfs を使用して、以降の作業を行いました。SCSI ディスクは、論理ボリューム グループ VolGroup01 に割り当てています。
# /usr/sbin/lvcreate -L 126G -n LogVol00 VolGroup01(127GB のディスクに126GB の論理ボリューム LogVol00 を作成)
# /usr/sbin/lvdisplay /dev/VolGroup01/LogVol00
(論理ボリュームの確認)
# /sbin/mkfs -t ext3 /dev/VolGroup01/LogVol00(EXT3 でファイルシステムを作成)
# mkdir /local
# mount -t ext3 /dev/VolGroup01/LogVol00 /local
(/local にマウントしてみる) - vi エディター (またはお好みのエディター) を使用して、/etc/fstab ファイルを開き、以下の行を追加して、自動マウントするように構成します。
追加)
/dev/VolGroup01/LogVol00 /local ext3 defaults 0 0